2016-06-12

ビートとベビーブームの狭間



「コレ、だれ?」
いとうたかおがそう聞いたので「たぶんソロモン・バークだと思う」と答えた。
ライヴ後、得三店内で流れていた。
「ソロモン・バーグを観たとき、めちゃくちゃ泣いてん」と金森幸介が話しはじめた。
人は圧倒的な力をみせつけられたとき、うなだれるしかなかったとき、その相手を師と認める……という内田樹の文章を思いだした。
わたしはソロモン・バークを聞きながら、なぜかマール・ハガードのことを考えた。
ソウル・シンガーとカントリー・ミュージシャン。
彼らのリスナーが重なることはかなり少ないだろう。でもそのとき、わたしはふたりの音楽が似ていると思った。たぶん、とても「男っぽい」。
ガイ・クラークも男っぽい、無口な人だった。
彼の腰骨から腿にかけての太さ、強靭さは男っぽさの欠片もないわたしの想像を超えていた。あ、そういえばビル・グラハムも。
モハメド・アリはどういう人だったんだろう。
ビートとベビー・ブーマーに挟まれた世代、ベビー・ブーマー以前はみんな「男っぽい」印象があったのかもしれない。
ふ〜ん、マンダム……か?
ウチのオバちゃんは「美術界も同じ」といっていたので、文学のほうもそんな気になってきた。
金森幸介が「ロクなおとなしかいなかった」とうたうのは、こういう世代への反発か? 憧れか? ひ弱な肉体しか持たないボブ・ディランは完全に後者だろうなぁ。
次々と他界してしまう人たちと同世代のボブ・ディランは今、どんな気持ちだろう?
わたしは、もうすぐわたしにとっての「ロクなおとな」ばかりの世界になってしまうことに不安を感じているけど。

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